Booklog - サンダー・キャッツの発酵の旅 世界中を旅して見つけたレシピ、技術、そして伝統
氏の旅や知人を通じて得た世界各地の発酵の技法と食品、その一部のレシピを紹介する本。 素材や技法は似ていても地域差があってそこに多様な文化があるという。レシピは完全なではなくて 氏が自身をジェネラリストであることが発酵実践者としての強みであると認識してるのは成る程な。 広範な知識と経験があるとそれらが関連付いて深化していくのは何事も同じか。
2025-05-20, read count: 1, page: i ~ xiii, pages read: 13
1 章 糖 糖の発酵でアルコールや酢を得るのは世界中のどこでも見られる。 パームワイン、プルケ、メスカルの節を読んだ。 パームワインはアフリカやアジアで作られる酒で、ヤシの樹液を発酵させたもの。地域の呼び名があってビルマではトディー(toddy)という(調べたところシュロの樹液から作るようだ)。 トディーは発酵が早いためを蒸留してアラック(arak)にすることで保存できるようにするが、中等のアラックとは別物。 プルケ(Pulque)とメスカル(Mezcal)はともにマゲイ(Agave americana 、 リュウゼツラン、アガベ)を原料にしたメキシコの酒。 マゲイから採取されたアグアミエルを発酵させてプルケを作る。メスカルはマゲイの株自体を焼いたあとパルプにし発酵&蒸留して作る。テキーラはメスカルの一種で、 1 種類のマゲイからできていて製法も決まっている。 マゲイはプルケやメスカルを作り消費する以外にも生活や土壌の保護と結びついていて、文化的な重要性も持っている。 メスカルと言うとペヨーテを思い浮かべたが綴りが違った。
2025-05-21, read count: 1, page: 0 ~ 14, pages read: 15
ウンブリア州のワイン作り、地方の慣習が商業規格で流通しなくなるというのは、日本でも道の駅で買えなくなった漬物の話と同じか。 メキシコのテパチェ(Tepache)と中南米のグアラポ・デ・ピーニャ(Guarapo de pina)ははパイナップルから作る。 カリブ海のモービー(mauby)は木の樹皮・根幹・スパイスと砂糖で作る。柿酢はその果肉を漬け床にすることができる。 フルーツ酵素過激派は酵素が全てを解決すると思ってるが氏はそう簡単ではないというスタンスで良かった。 蜂蜜から作られるミードには植物性の風味が漬けられることが多い、ターメリックのミードもそのバリエーション。 糖の発酵はバックスロッピングするものもあるが、どれも原材料が自然と発酵を始め、絶えず発酵が続きアルコールから酢に変わる。 そういう点でもプリミティブなんやろな。
2025-05-22, read count: 1, page: 15 ~ 31, pages read: 17
2 章 野菜 野菜の発酵はプロセスがわかりやすく本質的に安全で比較的優れた効果を得られるため最初に手掛けるのに向いている。 この章では塩漬け発酵の起源と考えられる中国をはじめ世界各地の手法を紹介し、塩を使わない日本のすんき漬けや発酵野菜を乾かす実験的アプローチを紹介している。 氏が発酵を始めた現実的な理由は菜園の収穫。前に読んだピクルスと漬物の歴史でも中国が塩漬けの起源で紀元前 11 ~ 7 世紀には既に見られたとあったな。 成都なので四川と雲南省のパオツァイ。成都の作り手のこだわりは麦芽糖に叮叮糖を使うこと。 Wikipedia を見るに香港の駄菓子みたい。雲南省の作りては野菜を日干しし糖類を添加しない。 貴州の重湯漬けは炒ったもち米の煮汁につける。 産膜酵母が張ってても気にせず混ぜ込むシェフ、まあそうするよなというのはわかるが産膜酵母が張ったあとの味はあまり好きじゃない。 People's Republic of Fermentation は暇なときに見よう。
2025-05-23, read count: 1, page: 32 ~ 46, pages read: 15
日本は長野木曽のすんき。すんきは塩を使わず前年の漬け汁でバックスロッピングする。以前長野に行ったときには売ってなかったのもあり、季節のもので手に入れにくい印象がある。 教え子のターメリックペースト漬け。ペースト自体が発酵しててそれも漬けた野菜と一緒に食べれる。他の野菜でもできるのかな。 クロアチアのザワークラウト。キャベツを丸ごと発酵させる。芯をくり抜き塩を詰める。 スパイスとして胡椒を添加したり、発酵を促進させるため乾燥トウモロコシを入れる。 現代は密閉しやすいように食品グレードのポリ袋を利用する。 原初は水を加えずキャベツの水分だけで漬けてたので、これも現代的な変化か。
2025-05-24, read count: 1, page: 47 ~ 60, pages read: 14
ルーマニアの丸ごとザワークラウトは水を使わない。ザワークラウトで具を包むサルマと塩漬けのブドウの葉で包むドルマ。 本書ではトルコにも触れられてるが、確かセルビアにもサルマがあって、どうも中東から東ヨーロッパにかけて親しまれてる伝統料理みたい。 スイス山中のクラウト工場の製法の現代化の流れは興味深い。ザワークラウトのチョコレートケーキはスポンジのための重曹で酸味が中和される。 メキシコ風キムチと昆虫食。アミの塩辛の代わりにチャプリネス(Chapulines バッタの唐揚げ)を使う。アミの塩辛みたいに発酵してないけど。 ポーランド風キムチ。きのこの発酵は興味が強いがまだやったことない。加熱は必須やろな。
2025-05-25, read count: 1, page: 61 ~ 75, pages read: 15
Cultured Pickle Shop の粕漬けは Takara Sake の酒粕で長時間漬ける。調べてみたらどうも宝酒造みたい。 Feb Ferments の Bubonic Tonic ビーツクワスはビーツを使った発酵飲料。ピックルバックみたいな感じ? ビルマのラペソーは若い茶葉を発酵させる。手に入れにくいので乾燥茶葉を使うアレンジ。 スペインの発酵オリーブ。アク抜きに 5~20 日間と時間がかかる。オリーブ好きなのでやってみたがい手に入れにくいので却下。 スペインのオリーブ農場でかつて使われていた石・機械式の圧搾機、趣があって良い。 発酵野菜や漬け汁を乾燥させる。ネパールにグンドゥルックという発酵野菜があるみたいなので、更に保存性を高める手段で使われるのかな。 漬け汁を乾燥させて塩を得るのは、梅酢で作る梅塩みたいな感じか。
2025-05-26, read count: 1, page: 76 ~ 95, pages read: 20
3 章 穀物とイモ類 世界の大部分で穀物とイモ類は主食であり、発酵はそれらの食品の栄養素を利用しやすくし強化する。 欧米では穀物の発酵はパンとビールが主だが、世界中で様々な形の発酵が行われている。 現在の穀物の製粉の殆どは巨大な工場で行われ、利便性や効率と引き換えに食料安全やサプライチェーンにおける危機がある。 氏は地元や近隣地域での食品加工の復活がその解決策であると考えている。 キシェルはオーツ麦を水に浸し発酵させポリッジにした食品。かつての東ヨーロッパでは一般的だったが、現在はあまり見られない。 ビールなど活発に発酵した飲料をスターターにしてパンが作れる。 塩入り自然発酵パンは Clostridium perfringens(ウェルシュ菌) でパンを膨らませる。ギリシャやスーダンで同様の手法が見られる。 ウェルシュ菌で調べると食中毒の話ばかりですごく珍しい手法のよう。
2025-05-27, read count: 1, page: 96 ~ 106, pages read: 11
中国のコメから作る酒。パイチュウ(白酒)とヌオミーチュウ(糯米酒)。白酒を蒸留するための、中華鍋の上において使うシンプルな蒸留器がある。 恐らく糯米酒の話。酒麹という市販のスターターを使うコメのアルコール発酵。搾りかすはチュウニャン(酒醸)といい、デザートなどに使われる。 極めてシンプルな発酵手法やな。どぶろくのようで糯米だし濾すので薄濁りみたいな感じ?
2025-05-28, read count: 1, page: 107 ~ 115, pages read: 9
チチャ(chicha)は南米の主にトウモロコシ、他の穀物、芋類、フルーツ、蜂蜜や糖類から作られる、主にハレの日に用いる発酵アルコール飲料。 チチャは本来 fabkua と呼ばれていたが、スペイン人が fabkua で腹を下したのをチチャ(下痢)と現地の人が言ってスペイン人たちが名前だと勘違いしたのが始まりだという。 発酵によって酢に変化するため調理の応用範囲が広い。伝統的に作り手は女性で、古い手法ではいわゆる口噛み酒の手法で、他にはモルトを使う手法がある。 チチャ・デ・ホラ(chicha de jora)はエクアドルの手法のチチャ。ホラはモルト処理したトウモロコシを意味する。 チチャ・フエルテ(chicha fuerte)。パナマの手法のチチャ。フエルテは「強い」という意味。ホラのチチャだが砂糖を入れたり発酵期間が長くてアルコールが強いから? チチャ・ブランカ(chicha blanca)はペルーはクスコのキヌアを使うチチャ。発酵を促進させるためにパイナップルの皮を用いるのは氏のアレンジか。
2025-05-29, read count: 1, page: 116 ~ 126, pages read: 11
南アメリカのイモ類。ジャガイモ・キャッサバの現品種は苦みと有毒で発酵等の加工が必要だった。 ジャガイモ・キャッサバ・サツマイモのような世界的な注目を集めないアラカチャ(arracacha)・マシュア(mashua)・ウルーコ(melloco)・オカ(oca)・ヤーコン(yacon)等がある。 キャッサバとサツマイモのチチャ。サツマイモに含まれるアミラーゼが発酵を促進する。アマゾン川流域の住民は大昔から知っていた。 発酵キャッサバのトルティージャ(Yuca podrida)。発酵キャッサバをトルティージャの具に使う。 トゥクピー(tucupi)は苦み種のキャッサバの有毒なジュースを発酵させ無毒化しタール状のペーストにした調味料。発酵キャッサバから作られる産物に 1 つで他にもデンプンは caguana と呼ばれる。 最後に先住民の慣習に触れる。先住民が発酵の文化を持たないといわれていた先入観は入植者達のプロパガンダに過ぎず、文化に根付く洗練された発酵手法がある。 多くは失われたが残された文化を受け継ぐことがその伝統を尊重することである、と。教化なんかもそうやろうけどどこを見渡してもあるよな。日本でも。
2025-05-30, read count: 1, page: 127 ~ 137, pages read: 11
4 章 カビを育てる この章ではカビと言われる糸状菌を利用した発酵に目を向ける。 カビによる発酵に必要な条件は厳しい。小さなバッチから工夫しながら学ぶ必要がある。 カビは特にアジアで広く利用される。モルト処理や唾液による糖化の手法の 3 つ目の手法として知られる。 麹の作り方にも昔ながらの手作りと完全に機械化された方法がある。 流石に麹は味噌作るときでも買ったことしかないわ。自家培養するなら失敗を許容して実験する覚悟がいるな。
2025-05-31, read count: 1, page: 138 ~ 143, pages read: 6
麹の作り方。水分含有量が重要なので水分が多い培地では注意深く管理する必要がある。 様々な培地での麹の作り方を学ぶには Koji Alchemy を読むのがお勧めらしい。ニンジンやビーツにも麹が育つと。 菩提酛製法は古代の酒の製法で、醸すのに一定の温度を保つ等の厳密さがいらない。 米の半分はそのまま水と混ぜてスターターに、もう一方は炊いて発酵の栄養源とする。 現代的な酒造りと違い数日しかかからない。濾した液体は酒、残った固形物は酒粕だ。 洗練された酒を作るのでなければ、プリミティブな方法でシンプルに済むんやな。
2025-06-02, read count: 1, page: 144 ~ 150, pages read: 7
酒粕を使ったメニュー。酒粕がパンに膨張力と風味をもたらす。どうも酒粕を再発酵させてパン種にするってことみたい。 塩麹。海外の発酵実践者にもよく知られてるようで、氏は塩の量を控えめに作る。 みりん。焼酎を加えることでアルコール発酵を抑えてんだ、知らなかった。酒税法の対象なので作れないけどな。
2025-06-03, read count: 1, page: 151 ~ 160, pages read: 10
ガルムはローマ時代の言葉で魚醤をさす。ここではクズ野菜・麹・塩・水を混ぜて発酵させたソース。 氏のアレンジは、発酵を促すための比較的高い温度を使えないので塩分濃度を高めて長時間発酵させること。 元のガルムのように魚や他の動物性のものを使う手法もある。 Koji Alchemy ではアミノソース・アミノペーストという名で呼ぶ。 味噌。海外では大豆以外のナッツのような豆類、豆類でもないベーコン・チーズ・パンで作る実験的な手法を試す人もいる。 タンパク質を菌類が代謝してうま味を得られると思うのだけどパンでもできるってこと? タペ(tape)はキャッサバを発酵させたインドネシアのデザート。キャッサバや米にラギ(ragi)を混ぜてバナナに包み発酵させる。 固形の部分がタペで、液体は brem といい僅かにアルコールを含む。 豆板醤はそら豆と唐辛子を発酵させる。そら豆にカビを育て塩漬け、唐辛子は塩漬けで発酵なので乳酸か。 発酵した 2 つを混ぜてこれまた数ヶ月~数年発酵させる。なるべく日光に当て蒸発を促し味を濃縮させるというのも面白い。
2025-06-04, read count: 1, page: 151 ~ 175, pages read: 25
麹は実験室で培養された純粋株が使われることが多いが、アジア各地で見られる伝統的な手法は混合培養だ。 胞子に富む培養専用のスペースを使う方法やバックスロッピングといった伝統的な手法が用いられる。 そういったものの 1 つにインド北部の辺境カラップ村で見た「田舎のアルコール」のスターターとして使われていたファフ(faf)がある。 ヒマラヤの phab やインドの pham という似た単語があるが関連は不明。 ファフの正確な製法は不明だが穀物とアマランサスと何らかの植物の混合培養スターターだった。 今の日本だとこういう謎スターターに近いのはすんきくらいしかないか。昔はもっとあったのかもしれんが。
2025-06-05, read count: 1, page: 176 ~ 181, pages read: 6
南米にもカビを使った伝統の発酵食がある。コスタリカはブリブリ族でオコ(oko)と呼ばれるチチャのスターター。スペイン語で mohoso (カビが生えた)として知られる。 水に浸したトウモロコシの乾燥した穀粒をすり潰したペーストを bijawa と呼ぶ植物の葉で包み、鍋で 1 時間ほど煮たあと取り出して自然に発酵させる。 カビを使うのは、アジアの手法に関連があるのか、あるいはかつてはキャッサバの発酵にカビを使う手法がアマゾン川流域で行われていたのに関連するのか。 インドネシアのテンペも豆類を糸状菌で発酵させる。例では、市販のスターターではなく植物の葉で大豆に複数株の胞子形成金が付着したものをスターターとしている。 アジア圏では広くカビが使う伝統が残っているが、他所では失われたのかもって話。プリミティブな方法ほど類似の手法が発生しやすいので確かにという感じ。
2025-06-06, read count: 1, page: 182 ~ 189, pages read: 8
テンペの創造的な利用方法にボウルがある。ピュイ産のレンズ豆と炙って砕いたルピナスの欠片を基材にしている。 テンペの菌糸の水を弾く性質に加え 180 ℃で短時間で焼締められていて熱いスープの容器としても使える。 挑戦的な豆類以外のテンペの例として穀物やイモ類がある。ジャガイモ・サツマイモ・ヤムイモ以外にもキャッサバ・トウモロコシ・タロイモ・パースニップでもできるらしい。 ジャガイモのテンペのレシピではブロックに切り分けるが、そのままでテンペの菌糸を育てることもできる。 麹の Aspergillus 属同様にテンペの Rhizopus 属のカビも栄養素を分解し風味を増強する酵素を持つので、テンペも麹同様に新しい利用方法を実験されている。 発酵に適切な高温で酵素の活動を加速された環境で長時間発酵すると酵素とメイラード反応により外観・食感・風味に多大な変化を生じる。 ルピナスって食べれるの?と思ったがどうもルパン豆なるものがあるのでそれぽい。
2025-06-07, read count: 1, page: 190 ~ 197, pages read: 8
中国の毛豆腐は Actinomucor, Mucor, Rhizopus 属の鍵が優先している。稲わらやかぼちゃの葉が菌類の供給元として利用される。 他に食品に Penicillium 属のカビを育てたり、スコビーのようなバイオフィルムを創作料理の構成要素に利用する例が挙げられた。 ヒト以外に菌類と共生する例としてハキリアリがある。 このモケモケの豆腐を食べるのは慣れてないと勇気がいりそう。日本ではモケモケの食品見ないからなあ。
2025-06-08, read count: 1, page: 198 ~ 201, pages read: 4
5 章 豆類と種子 豆類・種子の自然発生的な天然発酵の手法について。 納豆は他の日本の発酵食品ほど国際的に知られていない。そうなのか。 納豆は丸大豆を Bacillus subtilis という土壌中によく見られるバクテリアが発酵させたもの。 特徴的な匂いは発酵によって生じるアルカリ性の副産物による。 日本ではそのまま食べるが、 Bacillus 属を利用する大部分の地域では日持ちさせるため乾燥させる。 氏が勤奮で出会った地元の豆鼓はよく知られた麹を使うものより納豆に近かった。 他にも雲南省の昆明、ビルマ、インドのナガランド州西アフリカの発酵調味料にも納豆に似たものがあった。 いずれも Bacillus subtilis によって発酵される。 日本の外から見た納豆像とその強烈な個性を受け入れようとする海外のヒトを見れるのは面白いな。
2025-06-09, read count: 1, page: 202 ~ 207, pages read: 6
納豆の作り方。どうも日本以外では粘り気を嫌って大きい大豆や違う豆類を使うのが好むのかな。 スターターは市販のものや納豆自体も利用できるがなしでも作れる。この場合時間が掛かるのと癖が強い味になる。自然の混合培養だからかな。 氏は納豆の類似品から勤奮の豆鼓をのような調味料スペシャルソースを作る。 ビルマの少数民族シャン族のトゥアナオも納豆に似た調味料。シャンのンガピ(ngapi, エビのペースト)とも呼ばれる。 これもスペシャルソース同様唐辛子・ゴマを加え、違いは生姜やハーブが入るところか。
2025-06-10, read count: 1, page: 208 ~ 215, pages read: 8
インドはナガランド州のアクニ(akuni, axone)も納豆に似た調味料。ナガ族の伝統的な発酵食品。 アクニは東ヒマラヤ全域で作り食べられ重要なアイデンティティであるがその食感・味・匂いはしばしば他の文化との対立となる点でも納豆と似ている。 西アフリカ一帯の発酵アフリカイナゴマメ(Palkia biglobosa)も似ている。 スンバル(soumbala)、ダワダワ(dawadawa)、イル(iru)、オギリ(ogiri)、アフィティ(afiti)、サンバレ(sounbareh)、ネテトウ(netetou)など地域と多種多様な名前がある。 またベナンではマスタード(moutarde)と呼ばれる。これらはブイヨンキューブが普及したことにより家庭から駆逐されてしまった。 イモ類の発酵のところでもあった文化の継承・多様性の話と同じよなこれ。メタファーとしての発酵でも氏は多様性に言及してた。
2025-06-11, read count: 1, page: 216 ~ 227, pages read: 12
アジア以外では豆腐はは菜食をイメージするが実際は穀物。イモ類。動物の血など様々な材料の液体を凝固させた食品がある。 豆腐は作ったその日に消費されるので、 20 世紀以前は保存する方法が発酵しかなかった。それがフールー(腐乳)、ドウフールー(豆腐乳)。 腐乳は毛豆腐から作らなければボツリヌス菌等の有害なバクテリアの増殖を防止するのが難しい。 腐乳は毛豆腐をアルコールに浸したあと塩・スパイス・砂糖・紅麹などを加え発酵される。 毛豆腐がなくても腐乳は作れるが、その場合別の発酵産物を発酵の土台とするが、麹や納豆だと豆腐溶けてしまうこともある。 他に発酵豆腐としては滷(ルー)という漬け汁で発酵させる臭豆腐(チョウドウフ)がある。滷は地域によって違う。 あと他文化の発酵食品を蔑むのは無礼だよねという話。 紅麹の腐乳はどうも豆腐ようと同じか。臭豆腐は食べたことないが出会ったときに紳士的に向き合えるかなあ。
2025-06-12, read count: 1, page: 228 ~ 235, pages read: 8
洗米村での祭りの料理、蛋腸(ダンチャン)。卵ソーセージで発酵料理ではない。 豆腐の味噌漬け。固めのの豆腐を長期発酵した塩辛い味噌に短期発酵の甘い味噌に糖とレモンを加えて漬けるレシピ。 おそらく木綿豆腐。味噌は合わせ味噌みたいな話で、麹の量が多い甘い味噌ってことなのだろうか。 次ページからコーヒーまでまとめて読んだほうが良さそうなので今日は少なめ。
2025-06-13, read count: 1, page: 236 ~ 241, pages read: 6
カカオの実は果実の発酵を経て種子も変性しカカオニブとなる。 氏が訪れたのはプランテーションを再植林した自然に近い森林農園のショコラティエ。 氏の多様性の観点からも、カカオやアブラヤシのようなプランテーションをモノカルチャーと批判している。 チュクラ(Chucula)はコロンビアのホットチョコレート飲料であり、伝統的な朝食である。 チョコレートは先進国で嗜好品として消費される以前から続く、薬学的儀式的な食材。 氏はチュクラの前段階をチベットの主食ツァンパ(tsampas)と呼ぶ。カカオペーストを煮詰め穀物や豆類の粉と混ぜて作る。 コーヒーの製造にも発酵が関わる。果肉を取り除く際に発酵を使うと様々なフレーバーが付加される。 酸っぱいコーヒーが好きなのでこれは知ってた。手法によって爽やかな芳香があるのよね。 チョコのように文化的な意味があった食品が嗜好品になる例は他にもあるよな、忘れがちやけど。
2025-06-14, read count: 1, page: 242 ~ 253, pages read: 12
アカラジェ(Acaraje)は黒目豆と玉ねぎの生地で作るアフリカ系ブラジル料理のフリッター。 ファリナータ(Farinata)はイタリアのひよこ豆の生地で作る揚げ菓子。 氏のレシピはいずれも生地を発酵させる。 氏が過去に食べたアカラジェは、熱帯の暑さで自然に発酵していたのではないかという考察。 最後は多様性の話。珍しい発酵文化も多数派の白人文化によって消費されているという見解と、多様な文化に敬意を払い伝統を分かち合おうという話。 時代による倫理の変化はあるが、文化毎の伝統は尊重されるべきというのはご尤も。
2025-06-15, read count: 1, page: 254 ~ 261, pages read: 8
6 章 ミルク 冷蔵や殺菌技術が発達するまでミルクの殆どは発酵されていた。 凝乳(clabber)・ヨーグルト・ダヒケフィア・ヴィーリ(viili)。スターターも純粋培養・スコビー(scoby)・バックスロッピングや植物性の素材がる。 またホエーの形で水分を取り除いたチーズはエージング(あるいは発酵)で長期間の保存が可能になる。 日本は飛鳥時代には牛乳を飲まれてたようだが庶民に広がるのは明治になってからなのでその発酵文化もないので、ここばかりは海外の文化から学ぶしかないな。
2025-06-16, read count: 1, page: 262 ~ 267, pages read: 6
テン・ベルズ・チーズ(Ten Bells Cheese)。生乳の安全性が心配なら長期間エージングする。 低温殺菌牛乳を使う場合は塩化カルシウムを加える(欠乏したカルシウムを補填し凝固を助ける)。 ケフィアのようなスターターを利用する場合はレンネットを加える(固めるため)。 シャンクリーシュ(Shankleesh)は要は水切りヨーグルトのチーズ。これをオイル漬けにする。 リコッタ味噌。リコッタチーズと味噌を混ぜたスプレッドのようなもの。 乳扇(ルーシャン)は中国雲南省のチーズ。ホエーを発酵させ酸度を高めたものが凝固剤になる。 チーズが出来上がったら 2 本の棒に巻き付け天日干しで乾燥させる。揚げて砂糖をかけて食べる。 なんで Ten Bells なんやろ。ホラー?イギリス風って感じかな。
2025-06-17, read count: 1, page: 268 ~ 275, pages read: 8
失われたつつあるヨーグルトのスターターについて。かつては純粋培養スターターやバックスロッピングではなく、植物や昆虫、果ては雨水や汚いガラスの破片など、様々なものが使われていた。 純粋培養スターターは微生物コミュニティといった防御機構がなく 1,2 世代で機能を失うのは、モノカルチャーの脆弱性に似ている。 スターターを失いバックスロッピングできなくなる場合に備えてバックアップの方法を用意しておく必要がある。 タルハナ(tarhana)はトルコのスープで、ヨーグルト・小麦・夏野菜・ハーブを混ぜて乾燥させた粉末で作るインスタントスープのようなもの。 氏が参加してきたカンファレンスでの様々なチーズとの出会い。酸敗のような風味が好まれる文化もある。 純粋培養が弱いってのは市販品でバックスロッピングしたことある人なら分かるよな。モノカルチャーって表現はわかりやすい。
2025-06-18, read count: 1, page: 276 ~ 283, pages read: 8
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