Booklog - 習慣と脳の科学

自分自身習慣化すると苦も無く継続できるのでその仕組みに興味があった。 本編を読む前に監訳者解説とも目次を読んだ。 当初は一般書にあるようなファストアンドスロー的な単純な二分化された説明でなく、習慣の観点から人間の行動を司る複雑な仕組みを、従来の研究の再現性が低いことも踏まえて丹念に繙くらしい。 また原著者の紹介。実績があるだけでなくブラックボックス的な研究に透明性をもたらすオープンサイエンスの旗手でもあるらしい。 専門用語が多くその点ピンとこないが、解説はかなり読みやすい印象を得た。

2025-04-06, read count: 1, page: i ~ vii, 249 ~ 259

第Ⅰ部 習慣の機械 なぜ人は習慣から抜け出せないのか 第 1 章 習慣とはなにか? 習慣が持つ強固な持続性という特性が、いかに人間の行動を変えるのを難しくし、また生きていく上で必要なものか。 技能は一度習得すれば自動化される点で習慣と似ている。 肉体の習慣もあれば心の習慣もある。有害となりうるものであれば強迫性障害がそう。 習慣には当初の目的や意図から離れていく特徴があり、習慣のメカニズムを知る上で大きな鍵になっていることがわかってきた。 アンソニー・ディキンソンのラットを用いた研究では、目的指向型と刺激反応型の行動があり、後者が習慣。 刺激が現れると自動的に反応し、目標に関係なく実行される特徴を持つ。 ちょっと読んだだけでも自分の中で意識してなかったことが目白押しで実に良い。

2025-04-07, read count: 1, page: 1 ~ 10

世界には安定と変化の側面があり、安定した側面は自動化したいが、脳はその両者を区別できない。 「安定性と可塑性のジレンマ」という用語で表現され、その解決策として習慣が果たす役割を説明する。 本書の構成について。 Ⅰ部は習慣とは何か、科学的に何を意味し、脳のどの部分で発生するかを説明する。 Ⅱ部は行動変容について。如何に習慣を変えることがが難しいか、科学的な裏付けのもとに深く理解していく。 簡単なコツでなく科学的な裏付けがある理解とアイデア、というあたりそうそうこれこれという感じで嬉しい。

2025-04-08, read count: 1, page: 11 ~ 17

第 2 章 脳が習慣を生み出すメカニズム。 習慣は意識的な記憶と切り離されている。これは脳には複数の記憶システムがあるため。 重度の記憶障害でも技能を習得できることから、習慣や技能の習得には別のシステムが関わっている。 マクリーンに始まる、人間の習慣が"爬虫類脳"によるという考えは、現在否定されているが、大脳基底核が技能習得に関わっているという初期の証拠になった。 大脳基底核は尾状核・被殻・側坐核・淡蒼球・視床下核・黒質・腹側被蓋野など、脳の中央の様々な場所に位置するが相互に深く結びついているため一つのものとして扱われる。 大脳基底核の信号を送る経路と仕組みはそういうもんなのかという暗記物。

2025-04-09, read count: 1, page: 18 ~ 33

大脳基底核の経路には直接路と間接路があり、直接路は行動や思考を開始し、間接路は行動や思考を抑制する。 関節路は視床下核を介することで抑制的な信号を送る。 この経路の違いにはドーパミンが関わっている。多くは黒質・腹側被蓋野で作られ、特に大脳基底核への投射が多い。 「神経調整性」の神経伝達物質であり、直接的にでなくニューロンへの他の興奮性・抑制性の入力の効果を調整する。ギターアンプのボリュームのようなもの。 ドーパミンは「可塑性」と呼ばれる経験による脳の変化にも関わっている。 ドーパミン受容体は興奮性を高める D1 型と興奮性を抑える D2 型があり、直接路は D1 型を、間接路は D2 型を発現する。 この違いの存在は長年議論の対象だったが「オプトジェネティクス」によって違いの存在を示す強力な証拠が得られるようになってきた。 未だ暗記物が続くが登場人物が増えてきて解像度は上がってきたような。

2025-04-10, read count: 1, page: 33 ~ 38

オプトジェネティクスは、光受容タンパク質を分子生物学の手法で極めて正確にニューロンへ挿入することで、光によってニューロンを興奮させたり抑制したりできるようになった。 これにより、なぜハンチントン病やパーキンソン病のような体の制御に支障をきたすメカニズムが解明されてきている。 ドーパミンが引き起こす様々な作用の中で習慣の形成に関わるのはシナプス可塑性で、経験によりシナプスの強度が変化することで他のニューロンを刺激する力が強くなったり弱くなったりするプロセス。 三因子ルールという可塑性調整でドーパミンが重要な役割をする。ドーパミンが存在するとシナプスが強まり、存在しないと弱まる。 ヴォルフラム・シュルツの研究により、ドーパミンニューロンが敏感なのは報酬ではなく、予測と予測の誤差であることがわかってきた。 これは機械学習における強化学習の考え方と一致し、ドーパミンの働きを数学的理論に基づいて理解できることを示した。 突然のコンピューターサイエンスでびっくりしたがそうつながるか。興味深いな。

2025-04-11, read count: 1, page: 38 ~ 46

カルシウムイメージングは、脳内のドーパミンニューロン等に活性化するたびに蛍光強度が変わるタンパク質の遺伝子を挿入することで、多くのニューロンの活動を一度に画像夏できるようにした。 2019 年のウィッテンのマウスを使った仮想現実の手法を用いた研究により、ドーパミンユーロンが予測と予測の誤差に敏感であることが裏付けされ、更には他に反応するものがあるとわかった。 世間一般に言われるドーパミンと快楽の関連は実際には直接はなく、むしろ動機づけが中心の枠割であるとみなされるようになっている。 ドーパミンを阻害されたラットは意欲が減衰することがわかっており、ベリッジとロビンソンはインセンティブサリエンシー(incentive saliency)と呼ぶ。 人間がある時点でどのように行うべきか判断するのに大脳基底核とドーパミンが関連すると考えられている。 話が逸れるが「実験動物は何度も実験を経験してるからレバーは押すものだと知っている」というのは考えたことなかった。バイアスやなあ。

2025-04-12, read count: 1, page: 46 ~ 53

第 3 章 一度習慣化すれば、いつまでも続く マーク・ブートンの研究により過去に学習された習慣は一度失われたと見えてもまた戻る事がわかっている。「自然回復」「復元」「復活」といわれる。 実際には古い習慣を忘れるのではなく、新しい習慣が現れやすいように古い習慣を抑制していると考えられる。 この事実から、恐怖症・ PTSD ・ 強迫性障害などの治療において重要な効果があることを示した。この種の治療法に「曝露療法」がある。 クラスケの研究では、習慣が学習されたコンテクストに特化したものになることを示しており、様々なコンテクストで曝露療法を行うことで、より効果的な治療ができることを示している。 インとノールトンは目標指向型(行動-結果型)は習慣学習がどのように進行するか理解する枠組みを構築した。 始めに背外側前頭前野と尾状核を結ぶ「認知」皮質線条体ループから始まり、時間の経過とともに運動皮質と被殻を含む「運動」回路が習慣を学習し始め、最初の認知経路に取って代わる。 この移行にはドーパミンが関わっている。このようにして運動システムに習慣が定着すると無自覚で行動を起こすようになる。 ここはキーワード覚えきれず難しかったのでまた読む必要がある...

2025-04-13, read count: 1, page: 54 ~ 61

習慣は一つでなく一連の行動で構成されていることが多い。 これは習慣的な行動を起こすときにどのようなアクションスリップ(日常的な目標行動で生じるうっかりミス)を起こすかを見ても顕著である。 グレイビエルの研究では、一度習慣が形成されると、線条体と前頭前野が協力して一連の行動の流れをまとまった行動単位に変えるため、一度始まると途中で止めるのが難しいことを示している。 パブロフ型学習は特定の刺激が価値のある結果に結びついたときに起こる。 道具的学習とは特定の状況や刺激に対して特定の行動を取るよう学習することをいう。 パブロフ型学習から道具的学習への転移とは、パブロフ型学習によって結果と結びついた刺激が道具的学習で獲得した行動を引き起こすことをさす。 これは、禁煙中の人が喫煙する人を見たり煙の匂いで喫煙衝動に駆られるように、特に悪い習慣を呼び起こすことにおいて大きな役割を果たすと考えられている。 このメカニズムにおいて、 DREADD という手法でドーパミンのシグナル伝達を側坐核で阻害すると転移が減少することから、側坐核のドーパミンが中心的な役割を果たしていると考えられている。 難しいけどここは非常に面白い。

2025-04-14, read count: 1, page: 61 ~ 67

ケモジェネティクスの手法の一つとして DREADD(デザイナードラッグによってのみ活性化すされるデザイナー受容体/Designer Reseptors Exclusively Activated by Designer Drugs) がある。 オプトジェネティクスと違い効果が出るまでに数十分かかるがその後数時間持続することもあり、長い時間枠での研究に有効であり、薬剤の注射のみで実施できる。 依存症の場合、依存対象の視覚的な手がかりに強い注意バイアスを持つのがストループ課題で実証されている。 つまり、ある種の習慣の手がかりはパブロフ型学習から道具的学習への遷移だけでなく、その個人にとってのサリエンシーが増大することによって、習慣を誘発しやくなる。 アンダーソンはこの依存症の注意バイアスは「価値駆動的な注意捕捉」という基本的な心理メカニズムと多くの類似点があることを主張している。 サリエンシーがわからなかったので調べた。感覚刺激がボトムアップ性注意を誘引する特性を指すらしい。ボトムアップ注意は視覚刺激そのもので引き起こされる受動的な注意過程らしく、要は周囲より顕著に目立つものに注意を惹かれることみたい。言葉むずー。

2025-04-15, read count: 1, page: 67 ~ 72

第 4 章 「私」を巡る戦い。 行動を決定する脳内の複数のシステムについて。 神経系の原始的な部分に依存する反射。その正反対がこれまでに出た目標思考行動。 習慣はその 2 つの間に位置し、目標思考行動であった行動が何度も繰り返されて自動化したもの。 止めるのが不可能な反射と違い、十分な努力と意識で止めることが可能。 パッカードは「プラス迷路」と呼ばれる実験装置で、目標指向行動と習慣的行動が競合していることを示した。具体的にはラットの海馬の機能を停止させると反応行動(習慣的行動)、大脳基底核の機能を停止させると場所学習(目標指向行動)をするようになった。 努力と意思で習慣を止められると出たのはここが初めてか。まだ具体的に触れられてないが。

2025-04-16, read count: 1, page: 73 ~ 78

著者ポルドラックの fMRI による脳画像を使った研究により、試行錯誤型の学習では大脳基底核(習慣的記憶システム)が、対連合型の学習では側頭葉内側(宣言的記憶システム)の活動が大きいことがわかった。 また片方の活動が上がるともう片方が下がるという、互いのシステムが競合しているというパッカードの見解を裏付ける結果が得られた。 その後ドーパミンのシグナル伝達に障害があるパーキンソン病患者も、試行錯誤型でなく対連合型の学習でならはるかに簡単に学習できることがわかった。 計測できることで次々と裏付けが得られたというのはすごいな。

2025-04-17, read count: 1, page: 78 ~ 80

1950 年代に始まる AI の研究について。始めは医療やチェスのような難しい推論をさせようとしたがうまくいかなかった。後に人間に近い方法で学習する機械学習であり、その中でも深層学習が大きな成果を上げている。 教師あり学習・教師なし学習・それらの中間の強化学習の 3 つの学習方法がある。 強化学習以前から心理学者は学習の仕組みを研究していた。 「効果の法則」「パブロフ型学習」「ブロッキング」や報酬の予測の誤差と全く同じ考え方からなる「エラー駆動学習」等。 強化学習の数理モデルの主要な構成要素に「ポリシー」「探索」「報酬信号」がある。 ポリシーで一般的なのはソフトマックス。 ドーパミンニューロンの活動と強化学習モデルの振る舞いの強い数学的関係を見出したように、計算機科学のモデルで脳の仕組みを解明しようとする計算神経科学という分野がある。 急に AI 出て馴染みある言葉が並んでびっくりした。計算神経科学という名はこの本で初めて知った。

2025-04-18, read count: 1, page: 80 ~ 88

前述のはモデルフリー強化学習で、組み合わせの爆発のような次元の呪いや外界の変化に弱い。ただ習慣の仕組みはよく表している。 これに対し構造の知識を利用するのがモデルベース強化学習で、人間の行動の多くはこれに該当する。 ナサニエル・ドーはこの 2 種類の学習が人間の脳でどのように機能しているかを研究、「二段階課題」という手法を開発した。 多くの研究では人はモデルベース強化学習とモデルフリー強化学習の使い分けに個体差があることがわかっている。 またそれは安定しておらず、気が散る状態ではモデルフリー制御、集中した状態ではモデルべース制御が行われると行った、特定の状況要因が影響していると示す証拠もある。 これ面白いな。強化学習との関連もさることながら、集中度合いで行き当たりばったりな学習はしがちというのは、実感を伴う気がする。

2025-04-19, read count: 1, page: 88 ~ 94

薬物依存症のように、目標も習慣的になり得るという考えに関心が集まっている。 クッシュマンはドーの二段階課題を応用して、モデルベースの学習は習慣を選択する可能性があり、モデルフリーの学習は目標状態に設定する価値に影響を与え可能性があることを示唆した。 これは中々恐ろしいな。目標設定した価値がランダムな要素で歪んでいる可能性があるということか。もしこの目標が習慣化してしまったら上書きでしか書き換えられないし難儀や。

2025-04-20, read count: 1, page: 95 ~ 97

第 5 章 自制心―人間の最大の力? 人の心の中の欲求と自制については、古くはプラトンが「パイドロス」で触れ、この二面性を最も有名にしたのはフロイトの著作である。 心理学では自制心は人生の重要な成果の多くに強い影響を与えると考えており、それは計画性や動機づけ、集中力、快楽追求、抑制などの心理的機能に関連しているとみなせる。そしてこれらは人間が独自に進化させた脳の領域である前頭前野に関係している。 事故・ロボトミー手術等の脳障害などで前頭前野が損傷した人は、社会的・感情的な機能障害や、判断力の低下、優柔不断、社会的な不適切な行為などの「実行機能不全」をといった、自制心を欠くようになった事例が見られる。 またこれらとは逆に脳損傷後に性格が改善するプラスの影響が見られることもあり、その場合は前頭葉の一番前方に損傷がある人が多いことがわかっている。 ロボトミー知ってたがここに関連してくるのか、恐ろしい。

2025-04-21, read count: 1, page: 98 ~ 105

前頭前野が自制心に重要な役割を果たすのはなぜか。 脳の一次領域は五感など特定の感覚モダリティからの入力の処理や、運動を制御のための出力の直接的な生成に特化していて、さながら脳と外界のゲートウェイと言える。 連合領域は一次領域からの情報を統合する。単一の感覚モダリティを扱うユニモーダルと複合した感覚モダリティを扱うヘテロモーダルがある。 前頭前野はその中でも最上位のヘテロモーダルの連合領域であり、脳が利用できるあらゆる情報の概要にアクセスできる。 前頭前野は人と他の霊長類で大きさにさほど違いはないが、人の場合は抽象的な思考に関わる領域が相対的に大きい、また脳の配線である白線の大きさに違いがあると考えられている。 しかしそれほど顕著な差でないので、ニューロンにおける組織化の微細な違いではないかとも考えられている。 このように具体的な大きな違いをもたらす仕組みは完全に解明されていない。 脳がパーツで構成されてるような感じで解像度が高まるな~。

2025-04-22, read count: 1, page: 105 ~ 109

白質の画像化する手法は、マイク・モーズリーは拡散強調 MRI という技術を用いたのに始まる。 水分子がどの方向にも拡散する運動は等方性と呼ばれ、軸索の中の水分子のように特定の方向に拡散する運動は異方性と呼ばれる。 代表的な手法は拡散テンソル画像法と呼ばれ、拡散が等方的か異方的か定量的に決められる異方性比率という指標を算出でき、白質の構造が脳にどう関連しているか理解するのに役立つ。 ゴールドマン=ラキッチの「眼球運動を用いた遅延反応課題」により、ドーパミンがワーキングメモリにとって極めて重要であること、ワーキングメモリに情報を保持しているとき活性化するニューロンがあることを明らかにした。 しかしアール・ミラーの研究では、より複雑な課題になるとニューロンが持続的に発火しない事がわかっている。 どのように情報が保持されるかについては紆余曲折あるが、ワーキングメモリに前頭前野のニューロンが不可欠であることは明らか。 はじめ字面だけだと猿の実験がワーキングメモリに関するものだと読んでる途中なわからなかったわ。でもセクション最後まで読めばわかった(多分)。

2025-04-23, read count: 1, page: 109 ~ 113

ノルアドレナリンを分泌する青斑核は特に前頭前野に接続しており、ドーパミン同様ワーキングメモリに重要な役割を果たすと考えられている。 アドレナリンもノルアドレナリンもカテコールアミンの一種だ。 カテコールアミンは眠いときのレベルが低い状態、極度のストレス下の高い状態のいずれでもなく、前頭前野にとってちょうどいいレベルである必要があり、逆 U 字型の関係があるとアーンステンは主張する。 この関係はヤーキーズ・トットソンの法則の根底にあると考えられている。 これは覚醒状態が前頭前野の機能に影響を与えることを部分的に説明している。高すぎるレベルのノルアドレナリンはα2A 受容体だけでなくα1受容体にも作用し、前頭前野のニューロンの発火を抑制しワーキングメモリのパフォーマンスを低下させる。 また、適切なレベルに調整する必要があるのはドーパミンも同じであることがわかっている。 ノルアドレナリンも関係するのかー。となるとその後のコルチゾールも関係するのかな。サプリで培った知識が活かせる。ま、先を読めばわかるか。

2025-04-24, read count: 1, page: 113 ~ 118

ウォルター・ミシェルのマシュマロ実験として知られる子どもを対象にした一連の研究で、誘惑が目の前にあるほど抗い難く、また満足遅延能力が高いほどその後の人生の成果にポジティブな結果をもたらす事がわかった。ただしサンプルサイズが小さ過ぎることは研究者自身認めていた。 満足遅延能力とその後の人生の成果の関係は明らかだが、米国国立小児保健・人間発達研究所が実施した「初期発達における保育の質と子どもの発達に関する研究(Study of Early Child Care and Youth Development SECCYD)」と呼ばれる研究に基づいた大規模なデータセットを用いた 2 件の重要な研究において、その関係を生み出す要因が社会的な要因等他にも存在し、分解して考えることが極めて困難であることを示した。 変数が多くて単純化できないんやな。

2025-04-25, read count: 1, page: 118 ~ 124