Booklog - 魏武注孫子
面白そうだったんで買った。孫子を複数のテキストから定本したのは曹操だという。 そのため曹操の軍事思想を理解しなければ孫子を真に理解するのは難しい。 その思想の背景を知ることは、当時の人がどのように理解し実践していたかを知ること。 曹操はあくまで訓詁学に基づいた注釈を行っていたというのも興味深いな。読書家なんや。
2024-11-25, read count: 1, page: 1 ~ 10
まず孫子と始計篇 第一の概要。孫子は孫武の主張を中核とするが、それを奉ずる学派の共有テキストでもあり、整合性に欠く面もある。 始計篇は比較的まとまっていて、本書では便宜的に段落を分けて読解を導いてくれる。 「兵は国の大事」「五事」「七計」「将の任免」「計と勢」、ここまでが戦争は国家存亡の分かれ道であるから合理的に判断し勝利を導かねばならないという主張。 「兵は詭道」戦争は即ち騙し合いであり人として正しいことが勝利に繋がらない。戦争を所与の条件とし敵の備えのない不意をつき必ず勝利を導かねばならないという主張。 「廟算」戦争における勝ちを定めることの重要性を説き、勝利は合理的に導けるものであるという主張。 2 頁しか読んでないが一旦ここで区切るが良いか。
2024-11-26, read count: 1, page: 11 ~ 12
始計篇 第一。(本来は計篇だった可能性が高い) まず孫子の原則として、1.戦わずして勝つを理想とする、2.戦争の基本的性格を詭道とする、3. 戦争を合理的に解釈するの 3 つがある。 これらにより、合理的な勝敗の予測、戦争が経済を滅ぼす実践的な説明、戦争を解明しようと試み、現代にも通づる普遍的な組織論といった特徴を持つ。 「兵は国の大事」戦争は国の存亡を左右するので良く洞察しなければならない。五事七計でもって勝敗を予測する。 「五事」戦力を道(民心)・天(時期)・地(地理的優位性)・将(将の能力)・法(軍事力や権力)で測る。みたいなところか? 面白いが読み解くのがなかなか難しいな。
2024-11-27, read count: 1, page: 12 ~ 17
始計篇 第一。 「七計」主・将・天地・法令・兵衆・士卒・賞罰で以て、君主は将が五事を理解しているか測る。後ろ 3 つが五事になくてより具体化された項。 「将の任免」孫子にある計に従う将は必ず勝ち君主に重宝され、従わなければ必ず負け放逐される、みたいな感じ。 「計と勢」計によって有利であることがわかれば「勢」を加えて勝利の可能性を広げる、ということらしい。「勢」は春秋戦国時代に思索された概念で兵勢篇 第五で論じてるとのこと。 ここまでが合理的に勝敗を予想するくだりかな。
2024-11-28, read count: 1, page: 17 ~ 22
始計篇 第一。 「兵は詭道」孫子においては戦争は騙し合いであるとする。これは敵の情勢に応じて変化するので先に伝えることはできないとする。 曹操はここに水のように常に変化することで敵に実情を探らせないのも詭道としている。 実例として白馬の戦いと烏桓遠征があるとしていて、これらはいずれも敵の不意をついたもの。
2024-11-29, read count: 1, page: 22 ~ 28
始計篇 第一。 「戦わずに勝ちを定める」廟堂で占って戦争の吉凶を得ていたのを五事七計で勝算の多寡を測ることで置き換え、合理的に判断しようとした。 作戦篇 第二。孫子の中でもまとまりよく、一貫して長期戦を避けるべきと説く。 やむを得ず戦争になった場合はとにかく長引かせない。 短期戦でも膨大な費用がかかるので、敵から兵糧、兵や戦車といった戦力を奪うことの重要性を説く。 「一日ごとに千金」大規模な軍隊を遠方に兵糧を伴わせて戦うには莫大なコストを消費する。 実例として官渡の戦いで烏巣奇襲を挙げる。
2024-11-30, read count: 1, page: 29 ~ 36
作戦篇 第二。 「長期戦の否定」兵は拙速である必要があり巧遅は求めない。勝っても疲弊していれば他国に狙われる。 「食糧を奪う」一度戦争を始めたら再び徴兵したり自国から兵糧を送らせない。兵糧が不足すれば敵から奪う。 「敵に勝って強さを増す」降伏した戦車を自軍に取り込み、降伏した兵を優遇し戦わせ、自軍を増強していく。 「兵を知る将」国家に安寧をもたらすのは兵法を知る将である。
2024-12-01, read count: 1, page: 36 ~ 45
謀攻篇 第三。 孫子の原則の 1 つとして、戦わずに勝つのを理想とする。 孫子では、戦いを善悪で判断せず、ただ現実にあるものとしてその目的を突き詰めてゆく。 相手を自分に従わせることをその目的とし、なるべく傷つけずに従わせるを善しとする。 「戦わずに勝つ」百戦して百勝するのではなく国を丸ごと取るのを最善とする。これは孫子は戦争は不吉な道具であるとする老子の思想の影響下にあるため。 しかし曹操は中心都市を落とさなかったことで降伏した将に背かれ敗北した経験からか、中心都市を落とすことを「国を丸ごと取る」ことと解釈する。
2024-12-02, read count: 1, page: 46 ~ 50
謀攻篇 第三。 「謀を討つ」謀略の段階で敵を討てば戦わずに屈服させることができるとする。 孫子との思想としては戦う善しとしていない。本書はそこからも奇策で以て戦わずに勝利することを指すのが妥当であろうとする。 外交策・離間策で以て相手を屈するのを理想とするが、それが実現できない場合の次善の策としてなるべく早期の決着、やむを得ぬ場合の下策として城攻めを示している。 曹操はこれを敵が謀略を練り始めた段階に先制攻撃をかけることとと理解するが、それは赤壁の戦いで降伏に固執し黄蓋の偽降に敗れた経験による可能性を本書は示す。
2024-12-03, read count: 1, page: 50 ~ 56
謀攻篇 第三。 「兵力差ごとの戦い方」孫子は彼我の兵力差によって戦力を変えるべきと説く。 これに対し、曹操は下邳で呂布を降伏させたことから将の能力次第で 10 倍どころか 2 倍でも包囲できると説くが、他の条件が揃ってのことなので参考にならないと後年批判されている。 「将と君主」君主は将を任命したら、将の判断を尊重すべきと説く。礼(仁義)を中心に置く国政と軍政では原理原則が違うため、君主は軍事に介入しないことが重要であるとする。
2024-12-04, read count: 1, page: 56 ~ 62
謀攻篇 第三。 「勝利の五つの条件」彼我の実情を把握しているか、兵の多寡による戦い方を知っているか、君臣が戦いの目的を等しくしているか、十分に準備をしてるか、君主が有能な将に裁量を任せているか。 曹操はこれを先にでた五事であるという。 「百戦して殆からず」このように彼我の実情を把握し、どう戦うか正確に判断すれば、何度戦っても危険はない。 この言葉は有名だし状況把握して正確な判断をしていれば~というくだりは理解していたけど、有能な将の裁量に任せているかというところは知らなかったので、新たな気づきかな。
2024-12-05, read count: 1, page: 63 ~ 65
軍形篇 第四。 孫子は戦争には負けない形があるとする。その形とは軍の動静を見せない形と説く。(ここまでが前半) 形をとれば戦う前から処理は決まっている。何故それが分かるかは展開可能な兵力でもって彼我を比較するからとする。(ここが後半) (見せない形とのつながりがよくわからないが?) 形が優位であれば水が低きに流れるように当たり前に勝つ。だが優勢な形を持たない場合は勝てないのか?で篇が終わる。 「負けない形」自軍にできるのは負けない形を取ることのみで、勝てるのは相手が負ける形(隙や油断ができたとき)である。 「形を隠す」敵が守って形を見せないときは勝てないが、敵が攻めに転じたときに形を見せれば勝てる(転じて攻めることが負けにつながることを曹操は示唆する)。
2024-12-06, read count: 1, page: 66 ~ 71
軍形篇 第四。 「当たり前に勝つ」先述の通り勝つとわかった戦争で勝利するので、勝つことは優れたことではないとする。 これは先に上げた形で以て勝敗を廟算したからであるとする。 実例として官渡の戦いの袁紹と田豊の例を挙げる。
2024-12-07, read count: 1, page: 71 ~ 75
軍形篇 第四。 「形で勝つ」形とは度・量・数・称・勝、土地の収穫高を測り動かせる兵力を算出し彼我を比較して勝利に至る。 「明確な勝利に向けて」このため敵軍よりも有利な形を取れば明確に勝利を得られる。 要は物量的な話を述べているのが形、形成が不利でも勝利する事例に関しては「勢」で議論されているらしい。
2024-12-08, read count: 1, page: 75 ~ 78
兵勢篇 第五。 孫子は勢を巧みに用いることで弱い軍隊でも強い軍隊を破ることができると説く。 まず勢にふれる前に、始めに分数(数で部隊を分かつ)・形名(旗と鼓による指揮系統)・奇正(正面か不意をつくか)・虚実(空虚な軍か充実した軍か)を用兵上の重要な事項とする。 勢は怯と勇であるとし、怯えず勇気を出せば、強大な軍隊にも千仞の山から小石を転がすように勝てるとする(どうも士気でもなく、意図的偶発的な勢いの流れのようなもの)。 「用兵上の重要事項」曹操は奇正を、先に出撃して正面から戦うか、後から出撃して戦うかと注釈する。 「奇正の組み合わせ」正面から戦うか正により敵と会戦しながら、後から出撃する奇により相手の不備をつき勝利を抑える。 奇正の組み合わせは敵によって変化するため無数にある。
2024-12-09, read count: 1, page: 79 ~ 84
兵勢篇 第五。 「勢とは何か」激しい水の流れが石を流すのは勢による。鷙鳥が獲物を仕留めるのは節による。 勢は弩の張り詰めた弦で、節は引き金を引く近さや瞬間のようなものであるとする。 「勢を生み出す勇」軍隊の強弱は形を決まる。勇怯が勢を決める。なお勇を起こすのは気であるらしい。 「権変により起こす勢」敵に見せかけの自軍の不備を見せて引き付け、本来の形により敵を待つ。 勝機を人に求めず権変により起こす勢に求める。 官渡の戦い「之を予へて、敵に必ず之を取らしむ」敵に利を与えその隙をつく。 合肥の戦い「能く人を択びて勢に任す」不利な形ながら奇襲をかけるという権変で勢を得て勝利する。 呉の平定「円石を千仞の山に転ずるが如き者は、勢なり」形と勢の両方で優越したものは竹が自ら割れていくかの如く勢が止まることがない。 「破竹の勢い」はこの杜預の言葉を起源とする。
2024-12-10, read count: 1, page: 84 ~ 96
虚実篇 第六。 先手を打って戦いの準備を整えておくのが実、後手に回り準備が至らないのが虚。敵を虚に追いこめば勝てる。 更に高次になる(策によって?)と自ら虚になり、虚になった軍は無形・無声となる。 無形となった軍は情勢が漏れず敵に把握できなくなる。敵に形を表させ自軍は少数であってもどこからでも攻められ、勝利する。 敵を無形にさせないためには、敵の情報を知る必要がある。そのため策略をめぐらし敵の形をあらわにする。 無形は形の極致であり、間者にも智者にも見抜けない。 軍の形を水のように常形・常勢を持たせないためには、敵の形に対応できる神(策に長けた?)の力を持った将が必要となる。 孫子は形・勢・虚実で臨機応変な戦法を組み立てて勝利するととく。 「虚と実」敵に利を与えるか急所を攻めれば、敵は実から虚に追い込める。
2024-12-11, read count: 1, page: 97 ~ 101
虚実篇 第六。 「虚の効用」敵の虚(敵がいないとこを行軍し守っていない所)を攻める。 よく攻めよく守るものは情勢が漏れず敵からすれば掴みどころがなく無形・無声(変幻自在で気配もない)となり敵の命運を掌握できる。 「無形」は形がなくなるのではなく、途方もなく大きく変幻自在であり、常なる形がないという意味。黄老思想を背景とする。 「無声」は気配がないこと。老子十四章。 事例は蜀漢滅亡。
2024-12-12, read count: 1, page: 101 ~ 104
虚実篇 第六。 「無形の防御」敵の虚をつくことを hit and away のようにとく。 敵の守らなけれなならまい所をつくことで、敵は守りを固めた陣を離れ戦わねばならない。 敵に疑わせることで、攻めたい所に攻めさせない。 「無形の攻撃」自軍が無形であれば敵は兵力を分散せねばならず、自軍の兵力を集中して敵の少数の部隊を圧倒できる。 「敵の情報を知る」勝ちをなすには、敵の情報を知り、策略で以て敵の形をあらわにする。 曹操は、軍形篇では為すことができないととかれた勝利を、戦う日時や地形を知ることによって敵への抑止力となり、敵に戦いを仕掛けられないようにできると解釈した。
2024-12-13, read count: 1, page: 104 ~ 110
虚実篇 第六。 「無形になるには」無形であれば熟練の間者や智者にもはかれない。 勝利したときの形は知れど勝利を制した形は無形であるので知る者はいない。 これは形が敵に応じて限りなく変化するためである。 「無形と水」軍の形は水に似る。水が高きから低きに流れるように、軍は実を避けて虚を攻める。 水は地により流れを定め、兵は的により勝ちを定める。このように敵に応じて勝利を得るものを神(しん、人智を超える働き・法則)という。 よくわからなかった「神」を理解できた。
2024-12-14, read count: 1, page: 111 ~ 114
軍争篇 第七。 軍争(敵と勝利を争うこと)は、敵に先んじて有利な地を得ることである。これには「迂直の計」を用いる。 魏武注ではそれを敵軍に自軍が遠くにいるように見せかけ先手を打つこととする(詭道である)。 敵よりも遅く出発しながらも先に有利な地を占めるには、地の利を得てなるべく長い距離を移動しない。 風林火山陰雷霆を実現するには兵を統率し一つにする。 加えて軍の朝昼夜の気に留意し、犯してはならない戦いの禁忌を示す。 「有利な地を占める」戦争の中、将が命を受け軍を編成し敵と対峙して宿営するまでで、先に有利な地を占め勝ちを争う≒軍争ほど難しいことはない。 軍争の難しさは、(策略によって)敵軍には自軍を遠くにいるように見せかけ油断させて利とするところにある。敵より遅く出て先に到着するのを遠近の計(迂直の計)を知る者である。
2024-12-15, read count: 1, page: 115 ~ 118
軍争篇 第七。 「百里の行軍」長距離の行軍は軍を疲弊させるため、軍争の際には長距離を移動しないことが重要となる。 事例として諸葛亮が孫権に救援を求めた外交を挙げる。 「地の利」敵情を知らない者は交戦できず、地形を知らない者は行軍できず、道案内を用いない者は地の利を得られない。
2024-12-16, read count: 1, page: 119 ~ 125
軍争篇 第七。 「風林火山」軍を詐術によって変幻自在に変化するさまを風林火山陰雷霆に例える。 風林火山陰雷霆なところを風林火山にしたのは語呂のせいかも?とのこと。 Web で検索して調べるに火と雷霆が速さを表して重複すると捉える説があるが、侵略の勢いと機敏に進軍することを表すと思うので誤読だろう。 「指揮系統」場に応じて鐘・太鼓・旌旗といった命令系統で軍を将の意のままに動かす。 魏武注がなくテキストに問題があると言われているようだが、内容は簡潔でわかりやすい。
2024-12-17, read count: 1, page: 126 ~ 129
軍争篇 第七。 「有を与える気」気芯力変の点から攻撃の機会をとく。 気は敵の士気が衰えたとき、心は敵の心が乱れたとき、力は敵が遠くから来たりて疲弊しているとき、変は整った大きな敵陣でないとき。 士気が朝昼夕で衰えていくのを、北宋の梅堯臣は初め中頃終わりの比喩と解釈する。 事例として夷陵の戦い。 「軍の禁忌」八つの禁忌、高い丘に向かわない、丘を背に迎撃しない、偽りの敗走を追撃しない、鋭敏な兵を攻撃しない、 囮に食いつかない、自国に帰る(帰師の)敵を遮らない、包囲する時は完全に包囲しない(一部を開ける)、窮地の敵に迫らない 事例として博望坡の戦い(偽りの敗走)、穣城の戦い、鄴城の戦い(帰師)。 帰師の敵を遮らないのは、敵に必死に自国に「勢」があるため。
2024-12-18, read count: 1, page: 130 ~ 136
九変篇 第八。 最初の五つの土地は九変それ自体とあまり関係ないことからテキストに乱れがあるとされる。 戦いは原則通りの正と臨機応変な変があり、道・軍・城・地・君命において変を知り、戦いにおいては常に変に警戒しなければならない。 孫子は将の選択が勝敗を決めるとし、選ぶべきでない将の特徴、必死な将、生き延びようとする将、短気な将、清廉潔白な将、民草を愛する将の「五危」を挙げる。 「五つの土地」圮地(水浸しの地)では宿営しない・衢地(四方に通ずる地)では諸侯に攻められぬよう盟約を結ぶ ・絶地(活路のない地)では留まらない・囲地(山に囲まれた地)では謀略を使う・死地(撤退できない地)では必死に戦う。 軍争篇と九地篇とテキストの重複がある。 「変の必要性」経由すべきでない道、戦うべきでない軍、攻めるべきでない城、争うべきではない地、従うべきでない君命がある。 これらの変を知り、利害を測る必要性をとく。 曹操は九変に対して五変なのは合わせる必要がないか、九を究と捉えていた。九つの変化でなく五つの変からの臨機応変な対応が必要であると考えた。
2024-12-19, read count: 1, page: 137 ~ 143
九変篇 第八。 「変に備える」諸侯を屈服させるには害を、煩わせるには事業を、飛びつかせるには利を以てす。 敵が来ないこと攻撃してこないことをあてにせず、自軍の備えをあてにする。 「将の五危」軍を全滅させ将を殺すのは必ず五危による。 必死な将は(柔軟さに欠き)殺しやすい。生き延びようとする将は捕虜にしやすい。 将が短期であれば侮って、清廉潔白であれば辱めておびき寄せることできる。 将が民草を愛すれば民を痛めつけることで救いのために煩わせることができる。 事例として五丈原の戦い。廉潔なるは辱む可し。
2024-12-20, read count: 1, page: 143 ~ 148
行軍篇 第九。 前半は行軍する際には地形に応じた方法を取る。軍に適した、避けるべき、慎重に捜索すべき地形について触れる。 後半は敵の行軍に関する情報を収集し、接触した際には「兵は詭道」の考えに基づいた間諜などの駆け引きで、敵の情報収集と分析を行う。 最後に将が兵に命令するのには信頼関係で以て行うべきであるととく。 状況を見るべきであるとかの話であるけど概説しか読んでないので詳細は各節を読んで判断する必要があるか。
2024-12-21, read count: 1, page: 149 ~ 150
行軍篇 第九。 「地の利」行軍するには有利な地形を選ぶ。山では南側を移動し自軍が敵より高い場所で戦う。 川では敵が川を半分渡り水に浸からせた状態で戦う。南側の高い土地に陣取れば水攻めにあうこともない。 湿地ではなるべく戦わず、やむを得ぬ場合は木々を背にして戦う。平地では高い地形を右後ろにし、より低い地形にいる敵と戦う。 この 4 つの地の利は、黄帝が四方の諸侯に勝った所以である。 より有利な高い日向の地形に陣取るには、先に出た軍争が必要ということか。
2024-12-22, read count: 1, page: 150 ~ 154
行軍篇 第九。 「軍を置く場所」軍は高い場所と陽を好み、丘陵や堤防ではその南側で右に背にするのが地の利とす。 「危険な地形」絶澗(深い渓谷)・天井(水が溜まる地形)・天牢(深い山道)・天羅(網で人を閉ざせる地形)・ 天陥(陥没した窪地)・天隙(谷間の狭い道)という六害の地形から自軍は遠ざかり、敵の背にさせる。 「伏兵のいる場所」群のそばに険阻(高低入り乱れた地)・潢井(池)・蒹葭(草の多い地)・林木(木の多い地)・ 蘙薈(覆い隠せる地)がある場合は伏兵がいると考え慎重に探索せねばならない。 近くにいて動かない敵はその布陣が険阻であることに頼っており、敵の誘いに乗らない。 ここまでが地形に関する話で、以降は敵情を図る。
2024-12-23, read count: 1, page: 154 ~ 159
行軍篇 第九。 「自然の情報」自然の変化から敵の動きを知る。木が揺れ動くのは敵が伐採し切り開いたため。 草を結んで障害とされているのは自軍を疑わすため。鳥獣の動きから敵の伏兵や包囲を知り、砂塵から敵陣の動きを知る。 「敵の状態」敵と接触があれば欺き合いであると捉える。敵の使者が謙っていれば進軍・強気であれば退却を疑う。 敵の軽車が先に出れば陣を布いており、人質のない和平は謀略である。走り回っている敵は進軍の機会を伺い、半分進んで半分退けば誘っている。 「敵の情報」(間諜により)敵情を知ることで、飢え乾き、疲弊、軍規の乱れ、兵の離心、といった状況や、敵の戦いの行き詰まりや困惑、 敵軍が休息を狙っていたり奇兵・伏兵をを企てようとしている出方等を把握できる。
2024-12-24, read count: 1, page: 160 ~ 166
行軍篇 第九。 「謀略」兵力は多ければ良いものではない。謀略により敵情を理解すれば後方支援部隊でも敵を破れる。 深謀遠慮もなく敵を侮れば必ず敵に捕らえられる。 「文と武」兵が将に親しんでおらずに罰を与えれば兵は服従しない。兵が将に親しんでいて罰を与えなければ驕り怠惰となり用いることができない。 そのため兵を命令するには文(仁恩)を以てし、統率するには武(軍法)を以てする。 平素より民草に命令を行われていれば服従する。これは将と民草が信頼し合っているからである。 曹操は文を仁、武を法と解釈し、唐の李筌は仁恩、軍法と解釈した。 事例として、諸葛亮が張郃を破った話。
2024-12-25, read count: 1, page: 166 ~ 171
地形篇 第十。 6 つの地形、 通・掛・支・隘・険・遠とそれぞれに応じた戦い方について。敵が十分に攻撃できるくらい弱くても地形によっては勝率は半分だととく。 また 6 つの敗因、走る・弛む・陥る・崩れる・乱れる・北げるは将によるものとする。 地形は軍の助けであるので、うまく利用すれば必ず勝つとす。 また将の話にも触れ、将は必ずしも君子に従うべきでない(状況に臨機応変であるべき)、 兵を大切にすることで従わせる(ただしそれだけでは統率できない)と、以前の話を繰り返す。 「六種の地形」四方に通ずる通では先んじて高い南向きの地の得て両道を確保し敵を討つ。険阻で互いの勢力圏が交錯する掛では的に備えがなければ討てる。 自軍も敵も出る利がない支では敵を半分ほどおびき寄せて討てば利がある。 山間の谷間である隘では先に自分を満たせれば、山川や丘陵である険では先に南向きの高い地を得れば、待って敵を打つ、そうでなければ敵を追わない。 互いに遠い遠では勢が等しければ戦う利がない。 地の利を得られなければ戦わない徹底さからも地の利を得るための軍争の重要さがわかる。
2024-12-31, read count: 1, page: 172 ~ 177
地形篇 第十。 「六種の敗因」軍の六種の敗因がある。いずれも将の能力不足による。 敵の戦力を測らず敵わなくて「走る」(逃走)・軍吏が弱く兵卒を統率できず統制が取れず「弛む」・ 軍吏が強くとも兵卒が弱く進撃について来れず危険に「陥る」・ 小将が大将に怒られ心服せず独断で戦い大将は小将の怒りに任せ敵を測れず軍勢が「崩れる」・ 将が弱く軍吏と兵卒の状態がなく布陣が不統一で軍規が「乱れる」・ 将が敵を測れず弱兵で強兵を攻め敗北する「北げる」。
2025-01-05, read count: 1, page: 177 ~ 179
地形篇 第十。 「地形は軍の助け」地形の話に戻る。地形は軍の助けになるのでよく知る者は必ず勝てる。この原則を知り事前に勝てるかを知れば必ずしも君主に従う必要はない。 名声を求めてむや医に進軍せず撤退を恥じず、ただ民と君主のためになる将は国の宝である。 「将と民草」将は兵卒を大切にし愛してこそ共に死地に臨める。ただ愛するだけでなく統率をとれねばならない。 曹操は、恩は威と、賞は罰と共に用いねばならないとする。事例として「泣いて馬謖を斬る」。 「勝利の可能性」自軍と敵軍の状況が攻撃すべき状況を知るだけで地形を知らなければ勝率は半分である。 そのため、敵を知り己を知れば、勝利はようやくあやうくなくなる。天を知り地を知れば、勝利はようやく十全となる。
2025-01-07, read count: 1, page: 180 ~ 185
九地篇 第十一。 自軍の状況を、散地・軽地・争地・交地・衢地・重地・圮地・囲地・死地の九地があり状況に合わせた戦い方が必要である。 自軍の兵を死地に置き死線させ実力以上に戦わせるのが重要であり、そのために重地に進軍する。 それを為すためには常山の蛇・率然のような連携が必要であり、軍政と九地の理法が重要であるとする。はじめは正、あとで変について。 締めくくりは毎度おなじみ「兵は詭道」の表現を変えた形。 戦わないのを善しとしているし前の篇でも徳について述べてると思うが、この篇は覇道なイメージが強い。
2025-01-17, read count: 1, page: 186 ~ 187
九地篇 第十一。 「九地とは」散地・軽地・争地・交地・衢地・重地・圮地・囲地・死地の説明。 「九地での戦い方」各状況での戦い方を述べる。争地では軍争の、重地では始計篇や作戦篇で述べたような兵糧の略奪をする重要性を説いているようだ。 地形を絡めた自軍の状況に触れているが、圮地・囲地で触れる地形は行軍篇や地形篇で述べたような危険な地形と言葉が違うのがややこしい。 険阻であるとかは共通するが。
2025-01-18, read count: 1, page: 188 ~ 193
九地篇 第十一。 「軍の統制」敵軍の連携を分断するためには迅速に戦い、敵軍の準備が間に合わないのに乗じて予測しない方法で備えのないところを攻める。 この節は九地と関係がなく見える。敢えて関連付けるなら死地に於いて迅速に戦うための軍政を乱すというところか。 実例として第一次北伐。ただし馬謖が功を焦った敗北によりで作戦は失敗した。
2025-01-19, read count: 1, page: 194 ~ 198
九地篇 第十一。 「死地で勝つ」自軍を重地へ進めそこを死地とすれば、将兵一体となって戦に集中し実力以上に戦うことができる。曹操はこれを死戦という。 また呪いを禁じ疑惑の念を絶つのは、孫子が合理性を重視していることを示している。 自軍の退路を断つのは冷酷なようだが、迷いなく戦に集中するためには必要なことなんやろうな。
2025-01-20, read count: 1, page: 194 ~ 198
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