Booklog - 運動能 新版・一流の頭脳
Anders Hansen, 御松由美子
運動が脳を強くする話。ストレス・集中力・意欲・記憶力・アイデア・学力・健康みたいな切り口の章立て。 わたしも脳と健康のために平日は自重筋トレするので、本書からさらなる何かヒントを得たいなと思ってる。 特に科学的な裏付けがあってそれを示してるみたいなのでその点に期待している。 万が一認知能力への効果に再現性がないにしても、運動して悪いことはなかろうというのがまたいいな。 章立てを見ると学力だけ総合力で粒度が整ってない気がするがそんなもんなんかな。
2026-05-02, read count: 1, page: 1 ~ 27, pages read: 27
第 1 章。現代人は進化の程度では原始人と変わりがなく、脳は体を動かすことに最適化されたまま。 科学的根拠<要出典>でも定期的なウォーキングが認知能力を高めることが示されている。 神経可塑性を促すのが運動である、という話。 残念ながら具体的な研究結果を示してるとか脚注がなく裏付けを得ることが出来なかったので、そこは自分で調べる必要があった。 本書で言及がある MRI 以外に RCT(ランダム化比較試験)など複数の研究で効果は認められている。 ただ効果の大きさ・条件・一般化可能性については相当の不確実性があって、「運動により脳に何らかのポジティブな効果が見られる」という程度の理解に留めるのが妥当っぽい。
2026-05-03, read count: 1, page: 28 ~ 58, pages read: 31
第 2 章。運動がストレスを抑制する。 HPA(視床下部・下垂体・副腎軸) 軸のメカニズムがコルチゾールを発生させストレスにつながる。 ストレスは扁桃体を刺激し更なるストレスにつながる。扁桃体は恐怖や不安に敏感で、ストレスの悪循環を引き起こす。 海馬と前頭葉は扁桃体の活動を抑える働きをするが扁桃体の方が強い。また継続的なストレス下では物理的に萎縮してしまう。 継続的な運動はコルチゾールレベルを下げ、海馬と扁桃体のブレーキ性能を高める。 歩くより走るの方がコルチゾール抑制の効果が高いみたいだが、あまり汗かきたくないねんよな。今の筋トレを細かくやるのは汗をかき過ぎないから続けられてるのもある。
2026-05-04, read count: 1, page: 59 ~ 112, pages read: 54
第 3 章。運動が集中力を高める。 具体的にいうとドーパミンの分泌を促すことが脳内のノイズを抑制し報酬系をくすぐる、また前頭葉の機能を高めることが集中力を高めることに繋がる。 また ADHD の特性について丁寧に触れてる。注意散漫や多動性といった特徴は狩猟民族や遊牧民族には適したもので現代の定住社会では不適応であるが、運動が ADHD の症状を緩和することが示されている。 エリクセン・フランカー課題は個人差の信頼性が低い点、マシュマロ課題は良く知られたように長期予測の信頼性が低い点があるが、運動が集中力を高めることは示唆されてるってことかな。
2026-05-05, read count: 1, page: 113 ~ 162, pages read: 50
第 4 章。うつとモチベーションと運動。 うつの改善に運動が効く。運動は抗うつ剤のビジネス的な事情で存在感が薄い。セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミンの分泌を促すことがうつの改善に繋がる。 BDNF(脳由来神経栄養因子) の分泌も促すことが海馬の脳細胞の新生を促しうつの改善に繋がる。 あとランナーズハイとその要因と考えられるエンドルフィンと内因性カンナビノイドの話。体脂肪を燃焼したときにレプチンが分泌されることから空腹感がゾーン入口の合図であるという自説。 本書の主張する、脳のある機能が原始時代の何かに恐らく由来してる、というのはまあそうかも知れんなくらいで読むのが良さそう。事実として運動が認知機能を高めるとしても、原始時代の何かとの因果関係まではやり過ぎではなかろうか。 裏付けがわからんのでそうなんだという程度の理解に留めてる。うつ改善の効果については本当に本書が示すように何百ものモチベーション研究で示されてるのであれば信頼性は高いんやろな。
2026-05-06, read count: 1, page: 163 ~ 207, pages read: 45
第 5 章。運動が記憶力を改善する。 運動が BDNF を増やし海馬の成長を促し、また運動が海馬への血流量を増やすことで、記憶力を改善する。これは運動性記憶、つまり運動神経にもきく。 ただし適度な強度の運動でないと疲労で逆に記憶力は下がる。 海馬の細胞の新生は四六時中行われているが、それを加速するのが運動。海馬は最も運動の恩恵を受ける部位。脳トレでゲームはうまくなっても認知能力は上がらない。 どうもポピュラーサイエンス本みたいだし、調べた感じ原著には参考文献はあったぽいが何故か今の新版では?なくなってるしで(何故)、「まあせやな」という理解でやはり正しい気がする。 ここまで「すごい効果があるからとにかく走れ」という感じ。ある意味首尾一貫してる。
2026-05-07, read count: 1, page: 208 ~ 250, pages read: 43
第 6 章。運動が創造性を高める。歩くことが発散的思考を強化する。収束的思考は上がらなかった。 歩くより走る方、負荷が適度に高い運動が効果が高いと考えられる。 30 分程度の運動で効果は 1 ~ 数時間。脳の血流量が重要なため過度の疲労で脳血流量が下がると衰える。 創造的なアイデアを有無には地道な粘り強い努力が必要で、それを運動で養える(何となく分かるが根拠は?)。 視床が情報をフィルタリングするにはドーパミンの分泌が適正でないといけない。視床のフィルターがより多くの情報を通すと創造性か統合失調症のどちらかに繋がる。 それを分岐させるのは視床以外の脳が正常に機能することが条件と考えられており、脳のあらゆる部位を改善する運動が意図的に創造性を高める素地を作る可能性がある。 創造性と散歩の関係はクリエイティブプログラマーでも触れられていた。創造性と統合失調症の関係はスペクトラムという話と思うがこれは要検証やな。参考文献がないから地道に探るしかないか。
2026-05-08, read count: 1, page: 251 ~ 280, pages read: 30
第 7 章。運動が子供の学習効果を高める。子供の潜在能力を発揮するには運動しなければならない。心拍数の上昇が重要な要素。 大人子供問わず立ち机を使うことで前頭葉が活発化し脳が効率よく働く。 「18 歳時に体力に恵まれていた子供は学歴・収入・うつ病のリスクの低さでより良い結果を得る傾向がある」という節があるが、これは素人目に見ても再現性の危機やな。 わたし自身体力・運動神経ともにゼロだった当事者なのでバイアスがあるかも知れんが、マシュマロ課題なんかと同様の匂いがする。 子供に運動させたい気持ちは親としてもあるので理解はできるしそういう傾向があるのかも知れないが、こういった言い切りに学術的な裏付けが明示されないのは別問題だ。 これが著者のせいか出版社のせいかは知らんがな。
2026-05-09, read count: 1, page: 281 ~ 309, pages read: 29
第 8 章。老化により前頭葉が萎縮するのを運動が抑制する。 また3人に一人が海馬が萎縮する遺伝子を持つ可能性があり、それに抗い BDNF を確実に増やす方法が、運動。 歩くことが認知症の発症率を抑える。ブルーゾーンは日常の範囲で体を動かすことが長寿に繋がっている可能性。 ストループテスト自体はかなり長く使われてきた頑強なテストみたい。 多分この章で注意すべきは、ある研究の結果を過度に一般化するとか、運動が一要因であることを忘れて過度に強調することとか、そういう点やろな。 運動が老化による認知機能や記憶力の低下を抑制する一要因であって他にも要素はある、と理解するのが妥当なところやろな。
2026-05-10, read count: 1, page: 310 ~ 328, pages read: 19
第 9 ~ 10 章。脳が身体活動によって恩恵を受けられるのは何故か、に関する著者の自説と思われる内容。 大脳皮質、特に前頭前皮質の発達が適期応力を高め生存に有利に働いたと考えられる。基本的に移動する生物に脳があるのを考えると、体を動かさないことで脳に影響がないわけがない。 脳が原始時代のまま運動しないよう変わってしまった環境の矛盾が、現代人の心や体を蝕む原因。サプリ・脳トレといった巨額の利益が絡むものは置いといて運動しよう、ということころかな。 主張はわかるので、他の研究に基づいた本なんかを読みつつ、本書の主張をそのまま飲み込まず参考文献を眺めて過度な一般化なのか見極めていくのが読者に与えられた試練やな。 そして、まとめの中で遂に参考文献の URL が出てきた。ほんの少しだけ安心できる。しかしなんでこのたかだか数ページを本書に含めるのをケチったのか謎。 サラッと AI に見させた感じでは、定期的な有酸素運動が高齢者の認知機能低下を遅らせ、うつ予防・海馬や認知機能に中程度の効果があるのは比較的信頼性高く、他の創造性とかは注意が必要みたいな感じらしい。せやろな。 これで本書は終わり。筋トレより有酸素運動、歩くよりも走れ、という論調だったので次は筋肉のやつ読むか。
2026-05-11, read count: 1, page: 329 ~ 368, pages read: 40
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